関西風でも関東風でも無く、東北地方の山間部で昔から食べられてきた蕎麦のレシピです。
基本的にはたっぷりの大根を具にした汁を使い、「けんちん蕎麦」に近いレシピです。
本来は野うさぎの肉や、山鳥の肉、天然のマイタケや、天然のホンシメジ、モタシと呼ばれるキノコや、チタケ(チチタケ)というキノコなど山の幸をふんだんに入れます。
とりあえずそういった希少な材料は難しいので、栽培のマイタケを使用します。
ちなみに東北地方の山間部では、ざる蕎麦を食べる習慣は元々無く、具だくさんの汁蕎麦か、蕎麦饅頭、蕎麦がきが食べられてきました。
奥会津に蕎麦を食べに行ってもこの蕎麦を出してくれる所はなかなかありません。
なぜなら、この奥会津風かけ蕎麦は昔からある家庭料理であり、蕎麦屋のほとんどは関東風に習った方式の蕎麦を出すからです。
このレシピでは、かつお節と薄口醤油を使って汁を作っていますが、奥会津では鰹だしや、薄口醤油はあまり使いません(現在は違います)。
本来のレシピに近づけるのであれば、煮干しダシと濃口醤油を使用して下さい。
材料
2~3人分
蕎麦(乾燥) 350g ※できれば太麺を使う
鶏もも肉 1枚
大根 400g
ニンジン Mサイズ 1本
油揚げ 100g
マイタケ 100g
薄口醤油 大さじ2 ※より奥会津風にするなら濃口醤油を使う
みりん 大さじ2
日本酒 大さじ4
昆布つゆ 大さじ4
岩塩 小さじ1
粒状鶏ガラスープ 小さじ1
かつお節 ひとつかみ ※より奥会津風にするなら煮干しを使う
だし昆布 10g
長ネギ 少々
スポンサーリンク
作り方
1200ccの水に昆布を入れます。このまま一晩置けば、昆布だしが取れます。
一晩経った昆布だしです。火にかける必要はなく、このまま昆布だけ取り出して捨てます。
煮出してだしを取る場合は、昆布を入れた鍋を中火にかけて、沸騰しそうになったら、火を止めて、5分ほど置いてから昆布を取り出します。
昆布を沸騰させて煮てしまうと、海藻臭さのような変なクセが出ます。
だしから昆布を取り出したら、一度沸騰させます。
火を止めて、かつお節を入れます。必ず火を止めてからかつお節を入れて下さい。
沸騰させたまま入れると吹きこぼれます。
かつお節を入れたら弱火にかけ、また沸騰し始めたら火を止めて、5分ほど置きます。
かつお節を濾せば、合わせだしの出来上がりです。
鍋に水を入れて沸騰させ、油揚げを入れて2分ほど湯がいて油抜きをします。
油抜きする事で油の臭みを洗い落とせます。
2分経ったら、流し台に置いたザルなどにあけて湯切りをし、冷ましておきます。
大根の皮を剥き、薄切りにしてから、細切りにします。
ニンジンの皮を剥き、薄切りにしてから、細切りにします。
マイタケを食べやすいサイズに裂いておきます。
油揚げは冷めたら1センチ幅くらいの短冊切りにします。
鶏肉は皮を取り、2~3cmに細切れにし、ボウルなどに入れて岩塩、酒を入れてよく混ぜて下味を付けておきます。
酒が鶏の臭みも取ってくれます。
材料を一纏めにしておきます。
本場奥会津の古くからのレシピだと、肉と野菜を鶏の皮やごま油で炒めてから汁に入れますが、脂っこい味わいになるので割愛します。
オリジナルレシピに近づけたい場合は、鶏の皮をコマ切れにして鍋で炒めて油を出し、その油で切った材料を全て一度炒めてから、酒やみりんを加えて煮きっても良いです。
汁物用の鍋を中火にかけ、温まってきたら、日本酒、みりんを入れて1分ほど煮きってアルコールを飛ばします。
煮きったら、合わせだしを入れます。
鶏肉を入れて、軽く混ぜます。
大根、ニンジン、油揚げ、マイタケを入れて20分煮ます。
蕎麦を茹でる鍋に水をたっぷりと入れ、強火にかけておきます。
大根が透き通ってきたら、岩塩、薄口醤油、昆布つゆ、粒状鶏ガラスープを加えます。
本物の昆布でダシを取ったのに、昆布つゆを入れるのか?と疑問に思うかも知れませんが、両方とも長所短所があり、両方を合わせることで味に幅をもたせます。
合わせダシだけでは、味が優しすぎるので、昆布つゆで旨味にメリハリを付けます。
ここでしっかりと味見をし、塩気が足りなければ岩塩を、旨味が足りない場合は昆布つゆを少しづつ足します。
塩気は強め、ダシもくどいくらいが丁度良いです。
味が決まったら、火を止めます。
長ネギを荒くみじん切りにして用意しておきます。
蕎麦を茹でる鍋のお湯が沸騰したら、流しにボウルを重ねたザルを置いて蕎麦を茹でる準備をします。
蕎麦を入れ、指定されている茹で時間よりも1分短く茹でます。
火は強火のままで。
蕎麦の太さによりますが、大体乾燥蕎麦なら4~5分、生そばなら2分くらいで十分です。
茹ですぎると美味しくないので、必ず時間を測って茹でて下さい。
しばらくすると、蕎麦のデンプンが浮いてきて吹きこぼれるので、泡が立ってきたら、火を中火に落とすか、さし水をして吹きこぼれる前にお湯を落ち着かせて下さい。
麺が踊るように回れば、もうすぐ茹で上がりです。
麺を少し味見して芯がないようなら火を止めて、トングなどで引き上げて、流しに置いたボウルに入れます。
蕎麦の茹で汁は、蕎麦をシメた後に蕎麦を温めるのに使うので捨てないで下さい。
ボウルに水を流し込み、水が溜まったら水を切るを2回繰り返し、蕎麦の粗熱を取ります。
蕎麦が冷えたら、ぬめりを取るためによく手で蕎麦を揉み洗いして、最後にボウルを外してザルでよく水を切っておきます。
これでコシのある蕎麦が出来ました。
食べる時は蕎麦を茹でたお湯の中に盛り付ける分の蕎麦を戻して温めます。
10秒もしないうちに温まるので、すぐに引き上げて器に盛り付けます。
器に盛り付けて蕎麦つゆと具をかけて、ネギを散らせば出来上がりです。
お好みで七味唐辛子をかけてお上がりください。
スポンサーリンク